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独立機関であるはずの会計検査院も黙認か:森友学園を巡る公文書改竄問題は闇が深い

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森友学園への国有地売却をめぐって公文書が改竄されていた問題。国民の代表である国会に捏造した文書を提示しただけでなく、法令で独立性が明示されているはずの会計検査院も文書の改竄を認識していたという報道1もあり波紋を呼んでいる。前の記事にも書いたが、公的な公文書が改竄されるということは前代未聞の珍事であって、民主主義国家の根幹を揺るがす事態だ。

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会計検査院は内閣から独立した機関

会計検査院は、日本国憲法および会計検査院法によって、その独立性が担保されている。これは過去の悲しい歴史への反省であって、二度と過ちを犯してはならないという当時の日本国民の願いでもあった。

日本国憲法 第90条

国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。

会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。

会計検査院法 第1条

会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。

会計検査院法 第20条

会計検査院は、日本国憲法第90条の規定により国の収入支出の決算の検査を行う外、法律に定める会計の検査を行う。

会計検査院は、常時会計検査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、是正を図る。

会計検査院は、正確性、合規性、経済性、効率性及び有効性の観点その他会計検査上必要な観点から検査を行うものとする。

会計検査院は、このような重要な機能を他から制約を受けることなく厳正に果たせるよう、国会及び裁判所に属さず、内閣に対し独立の地位を有する憲法上の機関となっています。

「会計検査院の地位」(会計検査院)

その会計検査院が、2種類の文書の存在に気付いていながら、国会への報告書にその事実を記載しなかったというのだ。開いた口がふさがらない。

一体何のために、会計検査院が内閣から独立しているのか。報告書を書いた人たちはどういう認識でそんなことをしたのだろうか。森友学園への国有地売却の価格設定に瑕疵があるかどうかは独立した機関である会計検査院が精査するといったことを繰り返し政府は述べてきたけれども、それが機能することはなかった。僕ら国民は会計検査院にも裏切られたのだ。

政府の出す情報はもはや信頼できない

財務省は公文書を平気で書き換える。独立した機関であるはずの会計検査院も機能しない。最高機関である国会にも虚偽の報告をする。そうなってくると、政府側の出す情報の信頼性は非常に薄くなる。他の省庁でもやっているんではないかという疑念すら浮かんでくる。

アベノミクスは本当に成功しているのか

弁護士の明石順平さんによる『アベノミクスによろしく』。「2020年を目途に名目GDP600兆円達成」という目標に合わせてGDPの算出方法を改定したのではないかという疑惑について詳細に述べられている。

確かにデータを見ると、不思議なことに第2次安倍政権以降の「かさ上げ率」がずば抜けて高くなっている。アベノミクスは実際は失敗しているのではないかと疑わせる内容だ。失業率や有効求人倍率の改善など安倍政権が「成果」として挙げているものは、アベノミクスの政策とは本質的に関係がない。株価も日銀と年金がつり上げているだけなのだという。

政府や財務省が公文書を改竄するような現状では、総務省や内閣府もそうなのではないかと疑われても仕方がない。

放射能汚染は本当に大丈夫なのか

福島第一原子力発電所の被災によって生じた放射能汚染が心配される、福島県とその周辺地域の農産物や海産物。政府は一貫してその安全性を強調しているが、これは本当に信頼していいものなのだろうか。

現在福島県産の米は全袋検査を行っていて、基準値以上の放射性物質は検出されていないとされている。僕らはそれを信頼して東北の農産物海産物を食べているけれども、今後は全袋検査ではなくサンプル検査になるという報道2があって、僕は非常に心配している。

日本という国では、残念なことに、生産地や銘柄を偽ったり、事故米を混ぜて販売する3ということが度々起きている。東北の地で頑張っている農家や漁師の方は政府が安全を保証しているから作っているのだし、もちろん末端の生産者が悪意に満ちたことをするとは思っていない。

ただ、情報元である政府が公文書を改竄するような実態があるとすれば、消費者は東北産のものを再び避けるようになるだろう。全袋検査をやめることについて、不都合な真実があるのではないかと勘ぐる向きもある。福島の米や桃は美味しいからたまに買って食べるのだけど、政府が正しい情報を出しているのかどうかという不安はどうしても拭い切れていない。東日本大震災が起きるまで「原発は安全だ」と言って推進してきた人はある意味利害関係者なわけで、そういう意味でも気にかかっている。

スピーキング重視の入試英語改革は本当に妥当か

個人的に一番気になっているのが、スピーキング重視の入試英語改革。東京大学が英語の民間試験を合否判定に使わないことを発表4して安堵している。

東京大学の阿部公彦教授(英文学)による『史上最悪の英語政策』に書かれているように、民間試験の導入ありきで進んでいるようだ。そこに引用されている「有識者会議」の議事録5を読むと、外部試験導入の動機として教育指導要領に定めた「英語の授業は英語で」という(何の根拠もない)部分を上手く利用しているのが伺える。この「有識者会議」というのがくせ者で、外部試験を作る民間業者が多数含まれているという問題が指摘されている。その疑念も黙殺されたようだけど。

【大津委員】6 今度は9ページに行きますが、左の段の下の方で、協議会うんぬんの話があります。最後の段落で、「そのため、大学、高等学校及び中学校の学校関係団体、テスト理論等の専門家、資格・検定試験の関係団体等からなる協議会が設けられ」という部分で、まず、前回ですか、前々回ですか、申し上げたように、資格・検定試験の関係団体等が、この協議会に入るということについては、私はとても強い違和感を抱きます。ただ、ここではそのような強い違和感を抱くということだけを指摘しておきます。

「英語教育の在り方に関する有識者会議(第9回)議事録」(文部科学省)

異文化交流にしてもコミュニケーションにしても、そこにはコンテンツがある。それを抜きにした「実用英語」なるものが存在するとは僕には思えないし、そういう「実用英語」を正確に計測できるテストがあるとも思えない。内容のない英語をやってどうするの?なんで英語勉強するの?という疑問しか浮かんでこない。

(英語に限らず)外国語を勉強するには初級文法の徹底的な学習と多くのインプットが必要なわけで、それを抜きに4技能だスピーキングだのといってできるものでもない。本気でやりたい人はコツコツと地道に勉強しましょう。

初級文法の復習が最善の学習方法
すでに高校を卒業している学生を相手に英語を教え始めて半年。 9月中旬に行なった期末試験の採点と成績処理を終えて一段落したところなのだが、振り返って見ると思うようにいかないことばかりだった。 半年間の反省を込めて、失敗した点をまとめてみようと
大人は赤ちゃんと同じようには言語を身につけられない
「赤ちゃんが言語を身につけるように外国語を学習しよう」という教材が世の中には溢れている。 実際に手に取って使っているひともいるのだろうけど、言語科学を勉強するとそれが迷信だとわかる。 実際に行われている子どもの言語獲得の過程を辿りながら、そ

しかしこういうところにも政府のやりたい放題な感じが出ている感じはやはり拭い切れない。外部の民間試験の導入は便宜供与ではないか精査してほしい。

死人が出る前に社会をまっとうなものに変えよう

さて、今回の公文書改竄問題は財務省近畿財務局で森友学園との国有地売買をめぐる交渉を担当していた職員が自殺したとみられるという報道7を受けて大きく動き出した。テレ朝newsによると、当該の職員は亡くなる前に「自分の常識が壊された」と親族に話していたそうだ。8

電通の新入社員が過労自殺したことをきっかけに過労死問題が大きく動き出したのと同じ。この国では、残念なことに、死人が出るまで事態が動かない。電車の運転士の超過勤務の改善も多くの死亡者の出た福知山線の脱線事故がきっかけだったし、格安バスツアーの問題が明るみになったのも軽井沢でのツアーバス転落事故がきっかけだった。

そういうの、もうやめにしよう。

死人が出る前に、過労や心労で病気になる人が出る前に、健全な、まっとうな社会を作っていこう。

こんな生きづらい社会ではなく、希望に溢れる豊かな社会に。

僕は、人々が、幸せに生きる未来を求めてやまない。

脚注

  1. 会計検査院、改ざん前の文書を保管 国交省から受領(朝日新聞デジタル)
  2. 福島県産米、抽出検査に変更へ 最速2020年産から(朝日新聞デジタル)
  3. 例えば魚沼産コシヒカリに中国産の米を混ぜた事件(「JAのコメ」に産地偽装の疑い、魚沼産に中国産混入;DIAMOND online)や事故米不正転売事件(Wikipedia)。
  4. 東大、英語民間試験を使わない方向 大学入学共通テスト(朝日新聞デジタル)
  5. 「英語教育の在り方に関する有識者会議 第9回議事録」(文部科学省)
  6. 大津由紀雄委員は連濁の研究などで有名な言語学者。専門は言語の認知科学。現在明海大学教授、慶應義塾大学名誉教授。博士論文はUniversal grammar and syntactic development in children : toward a theory of syntactic development (1981, MIT)
  7. 財務局職員、自殺か 国有地売買交渉、担当部署(朝日新聞デジタル)
  8. 「自分の常識が壊された」 死亡した近畿財務局職員(テレ朝news)
プロフィール
悠木貴仁(P.N.)

リベラル保守を自称するブロガー、高校・専門学校などで英語を教える非常勤講師。小学生の頃からインターネットの海を漂う。中学校で不登校を経験後、全日制高校を卒業して早稲田大学に進学、上智大学大学院で修士号を取得。ASD・ADHD・双極性障害・てんかんを持病に持ち、精神障害者手帳2級。

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